相続の名義変更(土地・建物の相続登記)
相続の名義変更を司法書士に依頼するメリットは印鑑証明書の悪用防止が可能なことです。
他の相続人のなかには、遺産分割協議に不満はないが、悪用を心配して、印鑑証明書を預けたくない人もおります。親戚づきあいがない場合は不安になるようです。そのために遺産分割協議の手続きが止まってしまうこともあるようです。
そこで、第三者である当事務所が、悪用を心配される相手方相続人から直接印鑑証明書をお預かりして、名義変更の完了後に、当事務所が相手方相続人へ郵送返却する有料サービスもしております。
相続の名義変更は、相続登記ともいいます。
相続の名義変更をすべき理由は2つです。
①土地・建物の居住や利用の権利を確保するためです。
相続の名義変更をしなくても、その土地・建物は相続人全員が共同所有(共有)していることになります。
つまり、相続人のだれかが税金を滞納したり借金をしたりすると、その共有持分が差し押さえられ競売になった場合、競落した第三者が共有者として出現することになります。
第三者は営利目的を持っていますので、その土地・建物の居住・利用にクレームをつけてくるでしょうし、共有物の分割を請求することもできます。空き家や空き地であれば問題はないでしょうが、相続人のだれかが居住・利用している場合は、大変なトラブルに発展します。
土地・建物の居住者・利用者は、自分の名義に変更して権利を確保しておいた方が安全・安心です。
他の相続人と仲がよかったとしても、他の相続人が死亡して、その妻(夫)や子が相続人になった場合は、遺産分割協議でトラブルになる可能性があります。嫁と姑の関係が悪かった場合は、夫の死亡を契機に我慢していた夫の実家への不満が爆発することがあります。
他の相続人が死亡したが、他の相続人は離婚していて、その子どもは元妻が連れて行ったため音信不通という場合、遺産分割協議でトラブルになる可能性があります。
長寿社会なのでどのような順番で相続が発生するか不明ですし、経済社会の予測が困難で金銭的に困窮しやすいので、相続人全員からOKをもらえるときに、さっさと名義変更をした方がよいと思います。
②法律上の責任を免れるためです。
たとえば、建物の所有者(共有者)は、建物の設置や保存の瑕疵によって生じた損害の賠償責任を負う場合があります(民法717条ただし書)。
倒壊の危険がある建物については、所有者(共有者)が自己の費用で取り壊さなければなりません。
共有者(共有持分何分の何)にすぎなくても、全部を取り壊す義務があります。費用を負担した共有者は、取り壊し後に他の共有者(他の相続人)に費用を求償することになります。
共有者全員(相続人全員)は、土地・建物の固定資産税の納税義務を負っています(地方税法10条の2:連帯納付義務)。
いままで支払っていた共有者(他の相続人)が支払わなくなった場合、支払えなくなった場合は、他の共有者に対して、市町村からの請求書が回ってきます。他の共有者のうち誰に請求するかは、各市町村が基準を定めているようです。
上記のような共有者としての責任を免れたい場合は、なるべく早くに、土地・建物の居住者・利用者である相続人の名義へ変更してもらうべきです。
居住者・利用者が名義変更の費用を負担できない場合ですが、背負い続ける共有者の責任のことを考慮すれば、責任を免れたい共有者が自腹を切るという選択肢もありだと思います。
なお、田舎の土地・建物を将来予定している相続放棄の前提条件を満たすために、いまのうちに名義変更をしておく方法があります。